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 中国は昨年十月、有人宇宙飛行船「神舟5号」を打ち上げ、旧ソ連、米国に次ぎアジアで初となる有人宇宙飛行を成し遂げた。

 中国人民解放軍が主導、「神舟」の名付け親は江沢民前国家主席で、国を挙げた国威発揚の意気込みを感じる。

 ところが、石原慎太郎東京都知事が、中国の成功に対して「中国人は無知だから喜んでいる」といった趣旨の発言をして物議をかもした。

 わがニッポンの宇宙開発レベルは、果たして中国を笑えるのか。

 ここ数年連続して起こったロケットや、人工衛星の打ち上げ失敗を忘れていやしないか。

 日本の宇宙開発はこれまで所管が異なる宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の三機関が縦割り的に行ってきた。

 とりわけ、衛星やロケットが大型化した一九九○年代半ばから故障や失敗が目立つ。

 九八年二月、当時の宇宙開発事業団が打ち上げた国産「H2」ロケット5号機は第二段エンジンが燃焼停止し、通信放送技術衛星「かけはし」の静止軌道投入に失敗。翌九九年十一月には「H2」8号機の第一段エンジンが燃焼停止し、運輸多目的衛星の打ち上げに失敗した。

 縦割りの弊害をなくそうと、昨年十月、宇宙開発事業団など三機関が統合し、独立行政法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA、通称・宇宙機構)が発足した。

 日本の宇宙技術の底力を見せようと、宇宙機構が行ったのが昨年十一月二十九日の国産主力ロケット「H2A」6号機の打ち上げだった。

 ところが、大型補助ロケットを切り離すことができないという基本的なミスが起き、地上から爆破指令で破壊した。

 この6号機には、北朝鮮のミサイル発射などを監視する情報収集衛星二基を搭載していたが空中に散った。情報収集衛星は既に二基打ち上げられており、四基で運用して初めて特定の地点を二十四時間以内に撮影できる。二基だけだと機能不全なのである。

 さらに、日本の宇宙技術は失敗が続く。「H2A」で一昨年暮れ打ち上げた環境観測技術衛星「みどり2号」は昨年十月、通信が途絶し運用断念に追い込まれた。電源となる太陽電池パネル系のトラブルとみられている。

 九六年に打ち上げた「みどり」もわずか十カ月で故障、二つの衛星に投じた総開発費千四百億円が消えた。

 また、火星探査機「のぞみ」にも不具合が発生、まさに総崩れの感がある。

 日本の最近十年間のロケット打ち上げ実績は十三回中、三回失敗し成功率は77%。

 石原知事が揶揄(やゆ)する中国は九六年十月以降、三十一回連続打ち上げに成功、どっちが宇宙開発大国といえるだろうか。

 日本の「H2A」は一回当たりの打ち上げ費用が約八十五億円。これに対して中国の主力ロケット「長征」は約六十億円とコストも安い。

 有人宇宙飛行に成功した中国は、月の探査を視野に入れている。来年、一、二基の月周回衛星を打ち上げ、月の資源分布を調べる。二〇一〇年までに無人探査機を月面に着陸させ、二〇年前後に月の試料を持ち帰る計画だ。

 小泉首相が議長を務める総合科学技術会議が、今夏をめどに日本の宇宙開発利用政策の新たな基本方針を策定するという。

 有人宇宙飛行、月探査、火星探査も視野に入れることになろう。

 しかし、大風呂敷を広げることより、宇宙飛行技術の基礎・基本を確かなものにし、二度とロケット打ち上げに失敗しないことから始めてはどうか。
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